東大寺のお水取りが終わり、奈良にもようやく春の装いを感じるようになりました。
奈良ではお水取りが終わるまでは春は来ないと言われています。
奈良に氷室神社という神社があります。名前の通り、氷の神様です。
そんな氷室神社は同時に奈良で最も開花の早い桜のスポットだと言われています。
場所は奈良国立博物館の北側に存在します。近鉄奈良駅から徒歩約12分です。
そんな氷室神社の桜が今日(3月17日)、開花しました。
奈良一番桜というそうですね。
氷室神社の桜はしだれ桜です。
氷室神社は現在の橿原市藤原地区から奈良市の現在の平城宮の方に710年に遷都した際に、氷池や氷室の神様としてお祀りされたのが起源だと言われています。
今でこそ氷はアイスクリームなど日本人の日常生活の中にあるのですが、昔はとても貴重な冷たいものだったのでしょう。
奈良時代には、春日大社の境内に氷室神社や・氷池・氷室があったそうです。
寒い時期に氷池で凍らせ、氷室に蓄え、春分の日に氷室開きが行われ、9月まで平城宮に献上していたと言われています。
9月まで電気のない時代に本当に氷があったのか不思議です。
逆に言うと、国家的予算を投入して作っていたのだと思いますので、様々な工夫があったのだと思います。
その後、860年の平安遷都後に現在の地に移り、興福寺の鎮守、南都の地主神、南都楽所の氏神となっています。
奈良の旧市街地では漢国神社・御霊神社と共に、氷室神社を氏神様としてお祭りしている地区があります。
3柱の御祭神をお祀りしています。
氷室と貯氷の方法を伝承した闘鶏稲置大山主命(つげのいなぎおおやまぬしのみこと)
氷室を発見して奏上された額田大仲彦命(ぬかたのおおなかつひこのみこと)
献氷の典例を開かれた仁徳天皇(大鷦鷯命)の三神となっているそうです。
闘鶏とは都祁のことを指すようですね。都祁村地域の国造(領主)だったようです。
稲置とは日本各地を直接治める、自治体長のような仕事だったそうです。
都祁村は大和高原の中央にあり、標高500m近く、隣の天理市福住では今も氷室神社があります。
そこから考えると、大和高原は氷室には密接に関わりのあった地域だったのでしょう。
そういえば、針テラスから少し北に上がった集落には春日神社がお祀りされていました。
何か関係がありそうですね。
額田大仲彦命は応神天皇の皇子で、都祁村で氷室を発見して、仁徳天皇に奉じたと言われています。
額田大仲彦命は、都祁村で発見したということなので、冒険家でありまたアイデアマンだったのでしょうか。
氷室神社では2年前から、氷のお祭りが開催されています。ひむろしらゆき祭りといいます。
ある柿の葉寿司の社長さんが発起して始めたそうで、マスコミでもとりあげられたお祭りです。
ひむろしらゆき祭りはまだいった事がないので、また改めて紹介します。
神社を回っていると、神社が脚光を浴びて人が集まる祭事があります。
氷室神社の場合は一番桜の開花と氷を奉納する5月8日ですね。
この日はこの神社は今でいうパワースポットになるのでしょうか。