「クラスの歌を作ります。」
担任の先生はそう言って、その決定のための会議の開会を宣言しました。
太宰府小学校は環境を考えるモデル校
私の通っていた小学校は、当時、環境を考えるモデル校になっていました。
学校の授業は放ったらかしのような感じでした。
家からリサイクルできるもの(牛乳パックや空き缶等)を持っていく。
環境を考えるクラス会議が何回も行われていました。
全員の机で円を作って、円卓会議です。
若き理想に燃える先生とモデル校の傷跡
先生は17時以降はバスケットボールの先生をやっている理想に燃える先生。
そして、3年生から続く同じ生徒の顔ぶれの中、先生がクラスの歌を作ると宣言しました。
今でも覚えているのですが、その年の音楽の教科書は3分の2までしか終わりませんでした。
クラスの歌を巡る攻防
クラスの歌は、会議の結果、みんなが歌うことができる歌をアレンジするということになりました。
会議では、T君が提案した歌は、ちょっとしょうもないが口ずさんでしまうCMの歌をアレンジする案でした。
Oさんが提案した歌は、中山美穂の「世界中の誰よりきっと」をアレンジする案でした。
T君の案は、クラスの男子のうち3分2が賛成しました。
一方、Oさんの案は、クラスの女子の半分あまりが賛成しました。
(私は福岡ダイエーホークスの歌のアレンジを提案して、見事に消えたので、親友T君の応援に回ります)
売れている歌で共感性を持ちたいちょっと大人な女子軍団と、論理の組み立てはうまいが、元の歌がひどい男子軍団。
その戦いになりました。
「クラスの歌なのに、流行の歌がはやらなくなったときどうするのか」
「しょうもないペットの病気を治す薬のCMのアレンジは品がない」
というような男子対女子の戦いになっていきました。
結果は、流行にあまり敏感でない数人の女子が男子側の意見に賛成し、多数決で男子側の案が通りました。
その後の1か月ぐらい、妙なしこりが残ったような記憶があります。
環境を考えるモデル校太宰府小学校
そして、若き理想に溢れるハンサムな担任の先生。
最後まで終わらない教科書。
世の中には得るものと失うものがありますね・・・。
一番学んだのは女子の団結力
その中で私が学んだのは、女子の団結力でした。
Oさんの主張を最後まで指示した7人ぐらいのグループ。
T君ははっきり言うと勉強も運動もできるリーダー格。
Oさんは穏健派だけどファッションリーダーのようなタイプでした。
その二人がWという同じ大学に通ったという結末を知っているのはおそらく私だけでしょう。
今思うと、世界中の誰よりきっとの方が絶対に良かったと思います。
理由はその時作ったクラスの歌を全く覚えていないからです。
小4男女の決戦・クラスの歌「世界中の誰よりきっと」でした。