平成19年3月12日。
それまで学生の地域貢献団体だった地域活性局は法人化しました。
当時、大学3年生の春。
大学1年生の時から活動していましたが、領収書などの発行を考えて、法人化しました。
株式会社化したことにより学生起業となりました。
それから11年が経ちました。
平成29年3月12日。
この日がやってくるとは思えないぐらいここ3年間は正念場の連続でした。
親戚に振り回され、行政に翻弄された3年間でした。
人生で最も苦しかった3年間でした。
起業して半年。
事務所を構えることができました。
春日庵の野崎さんのご厚意で学生が事務所を持ちます。
10月5日。
ならまちに民間の観光案内所「奈良町情報館」を開館しました。
起業して最初の2年は食べていけませんでした。
ならまちのお店の方がそっと賄いを分けてくださいました。
朝はつる由さんに8時半ぐらいに駆け込み、昼は3時半にひよりさんへ。
夜は蔵さんで賄いをいただく。
そんな毎日でした。
2009年に経済産業省から営利的観点で社会的課題を解決する事業者として認定を受けました。
その後、2010年から国の事業を請け負ったこともあり、事業は軌道に乗りました。
人の来ない夏・冬。
何をどうすれば人が来てくれるのか。
受付で観光案内をしながらそんなことを考えていました。
過疎地と観光地を結ぶ事業。
これは当初から考えていた案でした。
観光客が訪れることで過疎地の食材を観光地の料理店が使用する。
これは高校生の時、実家の挨拶周りに京都に行った際に学んだことでした。
京都は観光客が訪れると、京都の農家も潤います。
このいわば「京都プラン」が起業時の戦略でした。
しかし、その奥にある京都の歴史・文化までは考えたことがありませんでした。
起業することは、親から独立することです。
自分で生きていく上で社会的なマナーを知るべきだと思いました。
そして、知己のある方に頼んで茶道のお稽古場を作っていただきました。
起業して1年。大学を卒業する前に茶道を習い始めました。
ここがやはり人生のターニングポイントだった気がします。
「京都プラン」の奥には茶の湯の世界が広がっていました。
全国から茶道を嗜む方が京都を訪れます。
前日に宿泊し、晴れ着を着て、お茶会に参加されます。
そのお茶会の食事の部分から今の日本料理の世界が派生します。
そして、日本料理店が地元の食材を使っておもてなしをします。
京都プランの神髄はお茶の世界でした。
茶道とは裾野の広い総合芸術だといわれています。
掛軸には書の世界・生け花には花の世界。
工芸の世界から日本料理まですそ野があります。
お茶室という晴れの場所には建築文化も存在します。
京都に人が訪れると、このように派生する多くの産業がありました。
奈良は日本で一番古い町です。
奈良には吉野林業や墨や筆、日本料理に欠かせない吉野本葛や日本酒などの特産品があります。
そして茶道人口の割と多い地域でもあります。
日本全国が様々なまちおこしを行っています。
しかし、茶道でまちおこしとは聞いたことがありませんでした。
和菓子屋の次男として育った私。
これを自分のテーマにしようと考えました。
そこで茶道でまちおこしを始めました。
もう一つ、国際社会に生きる日本・奈良として考えているテーマがあります。
それが「2045年展」です。
1945年に終戦を迎えた戦争について。
終戦100年を迎える世代。
世界中が経験した第二次世界大戦。
今でも相互に主張があります。
特に日本は外交上非常に不利な立場になることがあります。
戦勝記念日として8月15日を祝う国もあります。
できればそんな国の人とも交流できる環境を作る。
そして2045年に世界中が手を繋いで「終戦」の日を迎える。
奈良をそんな国際交流の舞台にしたいと考えています。
また、私は祖父を戦争の後遺症のようなもので失くしています。
祖父が戦後、苦しみ続けた記憶を追いかけたいと思います。
アベノミクスで始まった国際交流。
今はまだ世界中が物見遊山の旅に終始しているように思います。
観光とは自分の日常を豊かにするための旅です。
目的性の高いおもてなしができる町を目指したいと思います。
そのためにはソフト事業もハード事業も進めていかなければなりません。
行政資本の入っていない民間のまちおこし会社は未だに珍しい業態です。
奈良町情報館は開館9年4カ月で来館者も645,000名を突破。
奈良町おさんぽガイドマップは累計182万部の発行となりました。
現在、会社の関連施設は年間25万人の来場者を数えます。
実績があるかどうかを考えると非常に苦しく思いますが、
続けることが多くの皆様への恩返しだと思っています。
創業10周年を記念して、弊社製造の飲料を特売します。
「奈良の生絞りとまと」6本セット定価1380円→1000円
奈良町情報館と針テラスつげの畑高原屋の2店舗で販売しています。
この10年、いや、13年間、支えてくださいました多くの皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
文末になりましたが、皆様からの熱い応援を忘れずに今後も精進したいと思います。
平成29年3月12日 株式会社地域活性局 代表取締役 藤丸正明