谷井さんは多くの余韻を私に残してくださいました。
そんな谷井さんのエピソードを一つ。
私の人生の師は有馬賴底さんという僧侶です。
有馬さんは相国寺管長を務められる他、京都仏教会の会長として多くの荒波を乗り越えてこられています。
有馬さんは流派を問わないお茶会を提唱されています。
有馬さんは私が奈良で企画したお茶会の顧問をしてくださっています。
その関係で、2013年はほぼ毎月奈良にお越しになられていました。
その際、私が必ず京都までお迎えに行き、早めについた際はどこかに立ち寄っていました。
観光地京都・奈良の興行師の話
ある日、そのお迎えの車の中で有馬さんと興行師の話で盛り上がっていました。
京都のある興行師とのエピソードをお聞きしました。
有馬さんはかつて、仏教会を背負って行政と闘争をしたことがあります。
いわゆる古都税問題です。
お寺の拝観料に税金をかけると主張する行政は時限立法として時間限定でやりたいと主張したそうです。
有馬さんはそれはだめで、仏教会から寄付という形にすると主張されたそうです。
そして真向から対立した両者。
有馬さんは最終手段として仏教会として金閣寺・銀閣寺・清水寺等を拝観停止にする措置に出ます。
その結果、行政側が折れて、古都税はなくなりました。
その際に、有馬さんの周囲には多くの人が集まってきたそうです。
その際のお話しもしてくださいました。
私も奈良の興行師の話を谷井さんから直にお聞きしていました。
奈良の墨を売っていた際の面白いエピソードなどもお話しさせていただきました。
偶然ではなかったその日の話
そして、奈良についたのが会議の1時間も前でした。
有馬さんがちょっとドライブしようとおっしゃった。
そこで、奈良国立博物館の前を通りました。
すると、「そこにお茶道具屋さんがあるから寄っていこうか」とおっしゃられました。そのお道具屋さんの名前は友明堂。知る人ぞ知るお茶道具店です。
そこで1時間程、話で盛り上がっていた時、私は思い出しました。
この友明堂のご主人田中昭光さんは谷井孝次さんの末弟だったということを。
谷井さんの余韻
谷井友三郎という人物の話をしていて、その関係のあるお店に偶然入る。
私が奈良に来て最も不思議な体験の一つでした。
道具店の中でもこのお話しで盛り上がりました。
友明堂は奈良きってのお茶道具店です。
偶然か必然か、このご縁で親しくさせていただくようになりました。
奈良では本当に多くの方に縁を頂き、そしてお世話になりました。
谷井孝次さん本当にありがとうございました。
藤丸正明
創業10周年企画「出会い」 奈良の興行師谷井孝次さん
http://tadaakifujimaru.com/2017/04/13/post-2484/
創業10周年企画「出会い」。谷井孝次さんとの思い出
http://tadaakifujimaru.com/2017/04/13/post-2487/