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怖い話・空家の記憶

プライベート

怖い話を書きます。

ハウスメーカー勤務

私はハウスメーカーの営業マンをしています。
空地や空家を見ると、謄本を調べ、その場所に可能性を見出します。
時に真夏の炎天下の昼間にもスーツを着て住宅地を歩かなければなりません。
それは冬もまたそうであり、営業の歩合は良いながらも大変な仕事です。

夕暮れに見つけたチャンス

ある7月の中旬の話です。
季節の変わり目で雨や雷に気を付けながら土地を探します。

その日はちょうど夕方ぐらいだったと思います。
住宅地の中に空地を見つけたんです。
空地は少し広く80坪ぐらいはあったでしょうか。
道路に面した場所は柵がありましたが、真ん中は空いていました。
ふと、空地の奥を見ると、廃屋のような家が見えました。
そして二階の窓が開いていました。

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話しかけてきた年配の男性

「あの家は年寄り夫婦が住んどった」

ふと、自分の右手に年配の男性が立っていた。
私の方を向く様子もなく、1人でぼそぼそと語り掛けてきます。
夕暮れ時は逢魔の刻といいます。

私は不動産関係の仕事をしているので、土地や建物につく怖い話はよく耳にします。
また、実際に先輩にはそのような経験をした人もいました。
なので、あまり夕方には歩き回らないようにしていました。

しかし、その老人は語り掛けてきます。

「あの家の夫婦はなかよかったんや」
「しかしな、男の方は事業に失敗しとった。貧しかった」
「あの土地は夫婦のものでな、しかし抵当に入っとった」
「取り立てが何度も押しかけ、夫婦に暴力を奮ったこともあった」

私はこの年配の男性が始めはあの建物の主の話をしていると思って聞いていました。
しかし、話がおかしくなっていきます。

「痛くてな、そしてまた来週くると言っていくねん」
「わしら夫婦はもう金もない、年金も細々や、生きていけへんねん」
「どうしよか、長生きしてもつまらんなと、妻と話をした」

この時、私はギクッとして男性の方を見ました。

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誰の話を聞いていたのか

「あれは季節の変わり目やった、今日みたいな日やった」

「暑い夏の予感も鬱陶しく感じられ取った」

「二階で二人は首を吊ったんや」

その年配の男性は私の方を向き、

「あの家の二階を見てみい」

私がその家の方を向いた時でした。

雷が鳴り、空家の二階のすだれの奥が一瞬見えました。
そこに二人の影が一瞬見えました。

振り向くとその年配の男性はどこにも見当たりませんでした。
私が話を聞いていた年配の男性は誰だったのでしょうか。

建物や土地には気や霊が籠ることがあるそうです。
その土地は今でも空いており、空家もそのままのようです。

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